当院の歯科治療

「歯周病治療」について

「歯石取り」と「歯周病治療」の違い

当院で行う『歯周病治療』は、一般にイメージされる『歯石取り』と呼ばれるものとは違います。
『歯石取り』は美容目的の処置、『歯周病治療』は病気の治療です。そのため施術内容も効果も全く異なります。

歯石取り

歯周病治療

  1. 美容

目的

  1. 歯の治療
  2. 病気の治療・全身へ病気が広がるのを予防
 

検査

プロービングでポケットの状態を評価
  1. 歯科用Xray検査で病気の診断
  2. プロービングでポケットの状態を評価
  3. 深いポケットがある場合ペリオスコピーでさらに詳しく評価
見える部分の歯石を可能な範囲で除去
  1. 見える部分の歯石を可能な範囲で除去

治療内容

  1. 見える部分の歯石を歯に優しい超音波で除去(マイクロスコープを用いて徹底的に除去)
  2. 歯茎の下の見えない歯石を④よりもさらに繊細な超音波器具で除去(正常な組織を傷つけないためにマイクロスコープ、ペリオスコピー使用)
  3. 歯茎の下の感染組織の除去
  4. 取り残しcheckのために歯垢染色液で確認、除去
  5. 荒研磨
  6. 艶出し研磨

これが当院で行う最低限の治療です。
必要に応じ歯内治療や歯周組織再生療法、歯周外科治療、抜歯、矯正などを追加するケースもあります。
あまりの内容の多さに驚かれるかもしれませんが、これぐらい徹底してやらないと治療にはなりませんし、せっかく麻酔をかけさせていただくからには徹底的な治療を行いたいと考えています。

歯茎の下の見えない歯石を④よりもさらに繊細な超音波器具で除去・艶出し研磨
  1. 見た目が良くなる
  2. 口臭がやや減る

効果

  1. 見た目が良くなる
  2. 口臭が減る(ほぼ無臭)
  3. 歯周病の進行を抑える
  4. 全身への病気の広がりを抑える
数千~数万円

費用

見ためや口臭は、歯石取りと歯周病治療どちらでも良化するため、大きな違いは分かりづらく(実際には違いますが)、治療効果は目には見えない所で現れるため、飼い主様には変化が理解していただきづらい部分です。

そのため、歯石取りでも良いんじゃないの?と誤解されている現状があります。

【例】骨が再生するケースも!

初回治療時と一年後の比較画像

歯の根の分かれ目が黒→白になっている=骨が再生している
適切な治療を行うことで、このケースのように再生することも、当院では何例も経験しております。

折れた歯(破折)の治療について

無菌的処置へのこだわり=成功率を高めるためのこだわり

折れた歯の治療については、マイクロスコープ、NiTiファイル、垂直加圧充填装置、ラバーダム、MTAなどの最新治療を導入しています。

ラバーダム防湿

当院では折れた歯の治療に「ラバーダム防湿」を行なって治療します。
この処置を行うことで治療を有利に進められることが論文で示されています。

ラバーダム防湿を行う意味

ラバーダム防湿を行わない場合

ラバーダム防湿を行わない場合

ラバーダム防湿を行わない場合、治療中常に唾液に汚染される可能性があります。

ラバーダム防湿を行った場合

ラバーダム防湿を行った場合
ラバーダム防湿により常に術野をきれいな状態に保てます。

ラバーダム防湿により常に術野をきれいな状態に保てます。
修復物を接着する上でも防湿が非常に重要なことが報告されています。

根管治療の成功率・不成功率(人)

日本の根管治療の不成功率

根管処置歯における根尖部X線透過像の発現率(須田2011年)

諸外国の根管治療の成功率

諸外国の根管治療の成功率・初回治療94%/再治療82%

日本の不成功率がいかに諸外国に比べ高いかが分かります。

ラバーダム防湿の使用率(人・動物)

根管治療を専門とする日本歯内療法学会の会員・ラバーダムを必ず使用する25%/ラバーダムを必ず使用しない50%
日本歯内療法学会の会員以外・必ず使用する5%
アメリ合衆国の根管治療専門医・ラバーダム防湿法の使用率90%以上
〈参考文献〉
1)吉川ら:根管処置におけるラバーダム使用の現状.日歯内療法誌,24:83-86,2003.
2)whitten BH et al:Current trend in endodontic treatment:report of a national surgery. J Am Dent Assoc,127:1333-1341,1996

動物(日本)

ほぼ皆無、日本に数名(2022年3月現在)

日本(人)の治療成功率の低さは、ラバーダムを使用せず、マイクロスコープや適切な器具を使用せず、時間が限られた中で処置が行われているためだと話している歯科医師もいらっしゃいます。

動物は治療に全身麻酔が必要だからこそ、1回の治療での成功率を可能な限り上げる必要があると当院では考えておりそのため動物でのラバーダム防湿は人以上に重要であると考えます。

マイクロスコープの使用

マイクロスコープとレントゲン写真

マイクロスコープについての詳しい説明はこちら。

NiTiロータリーファイル・垂直加圧根管システムの使用

折れてしまった歯の治療にはマイクロスコープだけでなく、NiTiロータリーファイル+各種NiTiファイルを使った根管拡大を行い、根管充填器を用いたCWCT法や、側方加圧充填法、マッチドコーンテクニック、MTA根充など、状況に応じた充填ができるように様々な材料を常備しております。

また大型犬では犬歯の歯根が非常に長く、60mm近くある子もいるため、海外から輸入した長いNiTiファイルや、60mmのステンレススチールファイルなども所有しております。

NiTiロータリーファイル・垂直加圧根管システム

クラウンの装着

クラウンの装着前と後

割れてしまった歯の治療後、ジルコニアや金銀パラジウム(銀歯)などを用いてクラウン(被せ物)を被せる 処置です。
1回目の全身麻酔で、クラウンを装着しやすい形に歯を削ります(支台歯形成)。削り終えたら歯型を取りま す(印象採得)。
この際当院では3Dスキャナーとシリコンを併用して歯型を取ることで、より精密な型取りができるように努め ております。
また、次回クラウンを設置するまでの間歯が痛まないよう歯にコーティングを施します。
送ったデータを元に、歯科技工所でその子の歯の形に基づいてクラウンを作成していただきます。 クラウンが病院に届き次第、装着するために2回目の全身麻酔を行います。